
ご存じの方も多いかと思いますが、数年前、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)が音楽教室から著作権料を徴収すると発表し、それに対して音楽教室側が反対の声を上げ、民事裁判に発展した騒動がありました。
事件番号
令和3(受)1112
事件名
音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件
裁判年月日
令和4年10月24日
https://www.courts.go.jp/hanrei/91473/detail2/index.html
2026年現在、この件がどうなったのか気になり調べてみたところ、最高裁まで争われた末に結審し(上記参照)、
現在は以下のような運用で落ち着いているようです。
(JASRACと音楽教室側の正式合意2025年2月28日 :2025年4月~適用)
大人のレッスン: 受講者1人あたり年額 750円(税別)
中学生以下のレッスン: 受講者1人あたり年額 100円(税別)
極少利用の場合: 年に数回程度しか管理楽曲を使用しない教室向けに、レッスン単位や曲単位での使用料を規定
個人経営の教室: 徴収の対象外
私は音楽教室に通っていないので、実務上の細かな運用まで断言はできませんが、現実的な落としどころとしては妥当な結果だったのではないでしょうか。
とはいえ、相手がJASRACとなると、どこかスッキリしない気持ちが残るのも事実です。
というのも、当初JASRACが提示していた条件は「受講料収入の2.5%」や「受講者数に応じた高額な月額料金」といった、極めて強気な内容だったからです。
それに比べれば、今回の決着は音楽教室側の主張がかなり反映された形と言えるでしょう。
もちろん、著作権者が正当な報酬を受け取るのは当然の権利であり、それを守るための組織は必要です。しかし、JASRACが正しく機能しているかというと、疑問を感じざるを得ません。
私個人としては、かつて「MIDI狩り」と呼ばれた強硬な取り締まりによって、MIDI文化を衰退させたことに対して、恨みに近い感情を抱いています。
創作の供給源となる人々を強権的に排除して、一体何がしたかったのでしょうか。
当時、あれほど盛り上がっていたコンピューターミュージックの世界を冷え込ませた罪は重いと感じます。
新しい楽曲は、先人の模倣から初まり生まれるものです。
供給側となるかもしれない層に対しては、もう少し寛容な姿勢で著作権を運用してほしいと願わずにはいられません。
作り手がいなくなれば、音楽産業そのものが衰退してしまうのですから。
PS.
「MIDI狩り」が行われていた当時、確かこんなエピソードがありました
・短いフレーズだったため著作権者に使用料の支払いが無かった
(使用料は確かに徴収されているが、分配の仕組み上支払われなかったとか)
・雅楽の奏者に著作権使用料の「申告のお願い」が届いた
(そもそもパドリックドメインである伝統的な雅楽曲には著作権は無い)