試行錯誤ですが何か

定年親父がとりとめもなく、自己満足で日々やった事や感じた事、思ったことを書いています。ムンクが好きです。

ギターとの出会いについて 3

音楽に興味が出てきたので友人とよくレコード店に行ったものである。ロックバンドのコーナーにあるLPレコードのジャケットは、大概はそういう音楽をやっているのが解るようなものだったが、あるLPレコードが何故か気になった。老人が薪を背負っている絵のジャケットでロックのコーナーにあるのが違和感ありありだった。
しかも輸入盤のコーナーだったので、日本版にあるような帯がない。どんな音楽が入っているのか見当もつかなかった。
当時の自分はレコードは日本版より輸入盤の方が好きで、円高のおかげで日本版より安く、それよりも封を開けた時にインクに香料を混ぜているのか、輸入盤独特のにおいがするのがたまらなく好きだったからだ。


自称ロック通の友人が、「そのレコード、結構有名で見たことある」というので、特に期待もしなかったが、ジャケ買いでもないのに勢いで買ってしまった。
家に帰って、バンド名もろくに見ずにレコード針を落として聞いてみた。一発目から変な曲だった。変拍子でドラムのバスドラがやたらと響く、甲高い声のボーカル、耳につくギターのフレーズ。
2曲目はロックというよりロックン・ロール(題名も同じ)な曲、3曲めが始まるころには、「ああ、失敗した」という気持ちでいっぱいだった。毎月のこずかいからLPレコードを買うのはけっこう高価だったので今よりショックは大きかったと思う。
4曲目が始まった。アコースティックで耳に残るギターのイントロ、だんだん叩き込むような音の展開が始まる。静から動への移行を指し示すようなドラムの音、甲高いボーカルも負けていない。独特なエレキギターの音色は相変わらずだが、このリードギターなんかかっこいいぞ。クライマックスを迎えまた静にもどって曲は終了し、LPレコードのA面を聞き終わった。正直、この四曲目だけでも買って良かったと確信した。(Stairway to Heaven 『天国への階段』です)
だが、LPレコード全体の評価としては1回目の評価としては微妙だった。でもせっかく買ったんだからということで毎日聞いているうちにその良さが解ってきた。まさしくスルメ盤(*)だった。


本当にこのレコードはよく聞いた。溝が擦りきれたのか同じところを何回も繰り返したりして最後はまともに再生が出来なくなった。毎日1回は再生していたので少なくとも1000回以上は聞いたはず。
不思議なもので、CDの時代なってから同じアルバムを買ったのだが、あの時味わった感動が全然起きない。物理的にはノイズもほとんどなく音質も向上しているはずであるが、自分の気持ち的にはクラッチノイズがいっぱい入っていたあのレコードのほうが良かった。


最後に、このレコードの名称は「LED ZEPPELIN IV」、バンド名は「鉛の飛行船」こと”レッド・ツェッペリン ”である。


(*)噛めば噛むほど味がでるスルメのように、1回目はいまいちだけど何回か聞いているうちに良さが解ってくるレコードをスルメ盤と仲間内で言っていた。
逆に、1回目は良いと思ったが何回も聞いていると飽きて聞きたくなくなるレコードをガム盤と言っていた。ガムははじめは味があって美味しいが、噛めば噛むほど味がなくなるので・・。